世界で一番優しい嘘〜短編集〜
*❀٭
ミサトにいつも通り私は会いに来た。
それなのに、ミサトまで私にもう会えないと言う。
・・・どうして?
神様、なんで?
なぜですか?
「もう会えないの、
遠い所に引っ越すのよ
それに、私、あなたのこと好きではなかったから丁度いいのだけどね」
「ミサト・・・嘘でしょう?」
嘘。
私たちが過ごした・・・
あの時間は・・・?
「私たちが過ごしたあの時間は嘘ではないでしょう?
ねぇ、みさ・・・」
涙を流す私。
そんな私にミサトは抱きついてきた。
ほらね、嘘では無いでしょう?
「私、貴方に嘘をついてたの・・・」
「嘘・・・?」
ミサト、あなたは私を受け入れてくれた。
だから、私もーーー。
「私は、赤城ミサト。
貴方が恨んでいた妹・・・っ
言えなかったの、言えなかった・・・っ
貴方が恨んでいたことは知っていたから・・・言い出すのが怖くて・・・っ
ごめんなさいごめんなさい・・・っ!
けど、嬉しかったの・・・っ
私は貴方に、美嘉に、お姉ちゃんに会えて・・・嬉しかったの・・・っ
お姉ちゃん・・・って呼びたかったの・・・
ごめんなさいごめんなさい・・・っ」
私はミサトを・・・妹を抱き返すことができなかった。
ミサトはただ泣いていた。
「ごめんなさいごめんなさい・・・
ごめんなさいごめんなさい・・・っ」
「ミサト」
「美嘉・・・?」
「ミサト・・・、
生まれてきてくれてありがとう」
私は抱き返すことはせず、一言だけ発した。
「・・・っうあぁっ・・・っ」
ただ、ミサトは泣き崩れた。
私を抱きしめたまま。
*❀٭
「おはよう、美嘉」
「おはよう、カオルくん」
私はあれ以来、ミサトには会っていない。
会いに行っては行けない気がした。
ミサトがどう思ってるかなんてわからない。
けどあの日。
たしかに私たちは姉妹だった。
私のミサト。
私のたった一人の可愛い妹。
どうか、幸せにーーー。
あなたがずっと、笑っていられますように。
*❀٭
「生まれてきてくれてありがとう」
end