世界で一番優しい嘘〜短編集〜
「あたしだって幸せになりたかった」
あの日。
忘れもしないあの日。
あたしの父は殺人を犯した。
あたしの友人の両親を殺したのだった。
それ以来、あたしに幸せは巡ってこなかった。
「父さん、何が不満だったんだ?」
未だ行方不明なあたしの父。
存在すら許されないこの世界。
生きることすら、許されないのなら、あたしは一体、なんのためにここにいるのだろうかーーー?