世界で一番優しい嘘〜短編集〜
「不幸とは幸せに気づけない人の事を言うのよ」
Prolog
僕にかつて愛を教えてくれた人は、いつも僕にこう言った。
「不幸とは幸せに気づけない人のことを言うのよ」
両親に愛されることもく、友人に恵まれることもなかった僕にとって、彼女は全てだった。
僕の世界、そのものだった。
「ふ、あなたは居てくれるだけでいいから」
そう言っていつも僕を大切してくれた。