世界で一番優しい嘘〜短編集〜
「・・・今日はとてもいい天気だろう?」
「そうね。
最近少し曇だった様だから、いい天気ね、暖かいもの」
そう言ってミリヤはスープに口をつける。
「どうだ?
お前も久しぶりに外に出てみようか。
ピクニックだよ、おひるはサンドウィッチがいいかなぁ」
「・・・外・・・?」
少し不安そうな声を出してしまった僕にミリヤはきづいたようだった。
ミリヤは、いつもそうだけど、僕の変化にはとてもよく気づく。
何よりも、誰よりも僕を愛してくれる人だった。
僕の1番大切な人、守りたい人だった。
「お庭よ」
「・・・庭」
そう、庭よ、と彼女は少し微笑む。
自分で言うのもなんだが、僕の家は広い。
噴水もあるし、庭もとても広い。
とても裕福な家ではある。
正直言うと、僕はずっと家の中の、自分の部屋で育った。
もともと身体が弱く、生まれつき心臓が悪かった僕を両親は別荘に移したのである。
それがこの家。
そう、僕は両親には愛されない。
きっと、要らないものだったと思う。
早くいなくなればいいと、そう思われているはずだ。
「・・・っ」
そう考えていると、僕はいつも気分が悪くなる。
少し、吐き気を催す。
「大丈夫か!」
イアンが水を持ってくる。
「どうしたの、大丈夫?
・・・大丈夫よ、ミリヤもイアンもここにいるから、大丈夫大丈夫」
ミリヤはそう言って僕の背中をさする。
わかってる、わかってる。
僕は誰にも愛されなかったわけじゃない。
だってこの人達はずっと居てくれた。
僕を見てくれていたから。