キミのことが大好きだけど
とにかく、誰にも見られないところまで何も考えずに走った。




「はぁ……っ、はぁ……。」




遠いから誰も使わない、階段の隅。




「はぁ…はぁ……。」




掃除されてるのかわからない床にズルズルと私は座り込む。




「…………っ。」




だんだん視界がぼやけてくる。




涙を流すのは久しぶりだなあ…。




最近、すごく嬉しかったり、すごく悲しかったりすることがない。




なのに………




なんで、今日名前を知ったばかりの人に、泣かされないとダメなんだろう。




「……こんなの……っ、初めて…っ…言われた……っ」




瞬はもちろん、両親ですら時々私と穂香を間違えるのに…




そんなこと、言われたことないのに……




「………っ、穂香……。私……っわかんないよ…。」




きっとひどい顔してるんだろうな。




休み時間が終わるチャイムが鳴ったけど、私は動かなかった。




< 19 / 38 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop