気まぐれ悪魔に魅せられて
私はもう妹じゃないんだよ


幼馴染がいる、それだけで「いいな」と言われることがある。
しかも異性で二つ上のお兄ちゃんみたいな存在だと言えば、大半が「羨ましい」と返してくる。
ましてや高身長でイケメンだと知れば、ほとんどが確実に「マンガみたい」と不平等ささえ嘆いてきて。


私だって自分の境遇がいかに恵まれたものかは理解している。「小さい頃から一緒だしよくわからない」なんて、それこそがよくわからないような評価を、私は彼に抱いたことがなかった。それほどまでに、彼、川端叶斗はステータスを欲しいままにしていた。それだけじゃない。お互い一人っ子だったのもあって、私を甘やかしかわいがってきてくれた。十分すぎるほどの環境だろう。だけど、時々思わずにはいられない。小さい頃からこんな人が無条件にそばにいてくれて、だけどもしかしたらそれってとんでもなく不幸なことなんじゃないのかと。


だって……
< 1 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop