彼の隣で乾杯を
「そんなに酔ってたら危なくて風呂には入らせられない。さっさと化粧落としてベッドに行け。朝ゆっくり風呂に入れよ。明日は世界遺産観に行くんだろ」

「私がベッド使ったら高橋はどこで寝るの?私の方が小さいんだからこのソファーでいいよ。さすがスイートルーム、ソファーも広々」

私は自分の座っているソファーをバンバンっと叩いた。

「いいから、しっかり寝室のベッド見てこいよ。驚くぞ」

もしかしてベッド二つあったのかなとか大きなソファーが置いてあるのかなとか考えながら重い身体を持ち上げ何とか寝室に移動してーーー驚いた。

「何これ」

高橋の言う通り、驚いた。

「これ、何てサイズ?キングより大きいのは何?王様以上って?神?ゴッドサイズとか?」

「あほか。俺も知らねえな。こんなの見たことないし」

そこにあったのはアンティーク調の巨大なベッド。おまけに天蓋付き。
キングベッドがすっぽり入ってしまうような大きさ。
近付いてマットレスを押すと、心地いい弾力。
おおーっ。

「こんだけのデカさなら同じベッドの端と端で寝たら問題ないだろうが。一体何人寝られる大きさだよ?由衣子だってこんな王室みたいなベッドに寝てみたいだろ?」

一緒に寝ても問題ないって、そんな事あるわけないけど、うん、こんなベッドで寝てみたい。ぜひぜひ。

「ほら、わかったら支度して早く寝ろ。俺は本社に連絡したりゆっくり風呂に入ってから寝るから。襲わないから俺に構うな」

何たる言い草だと思いつつその提案を受け入れる私も大概だな。

「でも、シャワー浴びないと寝られない。汚い身体でこの神様ベッドに入れないもん。バチが当たる」

「当たらねーよ」

「イヤだ。バスタブに浸かるのは我慢するからシャワー浴びさせてよ」

女子にそこまで言わせるなと顔をしかめると高橋も折れてくれた。
「シャワーしながら寝ないか」
「寝ないよ」

「仕方ないな」と言うと「さっさと行けよ」と寝室から出て行った。

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