彼の隣で乾杯を
「ごめんなさいね、誰もいなかったから大きな声で電話してしまっていて。皆さんが入ってきたことに気が付かなかったの。失礼しました」
むしろここの部署はここで電話するようにと指導されている。
ニコッと笑顔で謝って部屋を出ようとしたら、ぐいっと腕をつかまれた。
「な、何?」
「佐本さん!ちょっとだけ聞こえちゃったんですけど、今の電話のお相手って、も、もしかして、佐本さんとお付き合いされている方とかなんですか?」
菊地ちゃんが私の腕にしがみつくようにがっちりとホールドしてくる。
「そうだけど?」
途端に菊地ちゃんはきゃーっとはしゃいだ声をあげ、滝田くんは今度は本当に缶コーヒーを落とした。
小林主任と同じチームのメンバーの前で肯定するのはどうかと思ったけれど、ここで否定するのも違うと思った。
「それ、彼氏ってことですよね?」
「そうね」
菊地ちゃんは目をきらめかせている。
「佐本さんに彼氏がいるなんて知りませんでした。それに彼氏の前だと話し方も普通なんですね。っていうか薔薇姫のタメ口ってとっても可愛らしくて驚きました」
「そうかしら。普通でしょ?でも、特別な相手にだけ見せる顔ってみんなこんな感じじゃないのかしら」
いつも通りの笑顔を浮かべこれ以上追及される前に「お先に」と部屋を出た。
むしろここの部署はここで電話するようにと指導されている。
ニコッと笑顔で謝って部屋を出ようとしたら、ぐいっと腕をつかまれた。
「な、何?」
「佐本さん!ちょっとだけ聞こえちゃったんですけど、今の電話のお相手って、も、もしかして、佐本さんとお付き合いされている方とかなんですか?」
菊地ちゃんが私の腕にしがみつくようにがっちりとホールドしてくる。
「そうだけど?」
途端に菊地ちゃんはきゃーっとはしゃいだ声をあげ、滝田くんは今度は本当に缶コーヒーを落とした。
小林主任と同じチームのメンバーの前で肯定するのはどうかと思ったけれど、ここで否定するのも違うと思った。
「それ、彼氏ってことですよね?」
「そうね」
菊地ちゃんは目をきらめかせている。
「佐本さんに彼氏がいるなんて知りませんでした。それに彼氏の前だと話し方も普通なんですね。っていうか薔薇姫のタメ口ってとっても可愛らしくて驚きました」
「そうかしら。普通でしょ?でも、特別な相手にだけ見せる顔ってみんなこんな感じじゃないのかしら」
いつも通りの笑顔を浮かべこれ以上追及される前に「お先に」と部屋を出た。