彼の隣で乾杯を
ふうんと言っただけで興味を失ったらしくそれ以上話しかけられることはなくて心の中で「セーフ」と安堵の声を漏らした。

その後もしばらく集まってくる人々に挨拶を交わしていると、林さんから「後は私と社長で大丈夫ですよ。皆さんはそれぞれリラックスして食事したり休憩して下さい。何か用があれば声を掛けますから」とありがたいお言葉が。

できることなら少し座りたいけれどそれはもう少し我慢。
いつもならこの程度のパーティーで疲れるなんてことはないのだけれど、今回は早希のことが心配でずっと気をもんでいて疲れていたし喉も渇いてしまった。

「佐本さん、俺たちはあっちに小林主任を紹介しに行ってくる。姫は気にしないで休憩してていいからね」
キネックス担当の八木さんが笑顔で料理の並ぶテーブルを目で示した。
彼らはキネックス社関係の子会社や取引先に小林主任を紹介するらしい。

ここで離脱できるのは正直なところ非常にありがたい。
このところの私の忙しさを知っている八木さんの配慮に大感謝だ。
小林主任にチラリと視線を送ると笑顔で「行ってこい」と言われご厚意に甘えてみんなの元を離れた。
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