彼の隣で乾杯を
「それにしても・・・早希ちゃん、あなた鬱陶しくない?こんなにまとわりつかれて」
麻由子さんは早希の腰に手をまわす康史副社長をビシッと指差して意地悪な笑いを浮かべた。

「麻由子さん。その言い方はちょっとひどくないですか?婚約者を紹介して回っているんだからこのくらいは普通じゃないかと思いますが」
早希が困った笑顔を浮かべ康史副社長はより一層早希を抱き寄せる。

「ああ、もうイチャイチャは二人きりでやって頂戴。
で、何?何か私に用だった?」

「あ、あのあちらでキネックス社の皆さんが麻由子さんを探しておいででしたので」
早希が申し訳なさそうに由衣子さんに告げる。

「キネックス社のっていうより妃佐が麻由子さんと話したがってるみたいだったよ」

妃佐さんという名前が出て麻由子さんは一瞬で表情を曇らせた。
それに康史副社長がすぐに反応する。

「妃佐はまた何かわがままを言いだしたのか」

「ええ、そうなのよ。私がガツンと言ってもいいのだけど、今回は私の仕事じゃないから少し様子を見るつもり。良樹が何とかするでしょう。でも、もしかしたら康ちゃんか健斗の協力が必要になるかもしれないからその時はよろしくね」

麻由子さんは意味ありげな笑みを浮かべた。

「オーケイ。何でも言ってくれ」
康史副社長は即答し早希も隣でうんうんと頷いている。

わたしだけ意味がわからないのだけど、親友がもう久保山家に親しい高橋家に馴染んでいるような状況に安心する。
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