彼の隣で乾杯を
「じゃああちらに行ってくるわ。あの小娘の用事とやらを聞いてみようじゃないの」
ふんっと鼻を鳴らして私たちに手を振ると麻由子さんは自分の夫のもとに歩いて行った。
その美しいモデルウォークばりの後ろ姿を見送ると、「ね、高橋のお母さんっていいヒトでしょ?」と早希の弾むような声がした。
「そうね。そしてかなり美しいのね」
私が言うと
「おまけにかなり強い」副社長が真面目な顔で言いきった。
私たちは顔を見合わせクスッと笑う。
「麻由子さんは子どもの頃からはっきりした人なんだ。シロクロはっきりしてて正義感が強い。彼女を敵に回すのはある意味国家と喧嘩するくらいの覚悟がないと」
ま、ちょっとオーバーだけどと副社長は笑った。
高橋麻由子さん。
どうやら高橋のお母さんはかなり強い女性らしい。
でも、裏表のない明るく華やかな人だった。あとで高橋に「お母さんに会ったよ」って連絡してみよう。
「早希たちのあいさつ回りは終わったの?」
「いや、まだ半分かな」
半分。
その副社長の言葉に早希の身体がピキンっと一瞬固まったのがわかった。
何も言わずちらりと副社長に視線を送るとわかっているというように軽く頷いて
「ちょっと外の空気を吸いに出ようか」と副社長は早希を促した。
早希はほっとした顔をして「行ってくるね」と私に言った。
「できれば一度ハイヒールを脱がしてあげて欲しいわ」と副社長に小声で声をかけると「了解」と返事があって早希は副社長に連れられて会場出口に向かって歩いて行った。
お似合いの二人だ。
私の頬も緩む。
これならばどこからも文句はでるまい。
ふんっと鼻を鳴らして私たちに手を振ると麻由子さんは自分の夫のもとに歩いて行った。
その美しいモデルウォークばりの後ろ姿を見送ると、「ね、高橋のお母さんっていいヒトでしょ?」と早希の弾むような声がした。
「そうね。そしてかなり美しいのね」
私が言うと
「おまけにかなり強い」副社長が真面目な顔で言いきった。
私たちは顔を見合わせクスッと笑う。
「麻由子さんは子どもの頃からはっきりした人なんだ。シロクロはっきりしてて正義感が強い。彼女を敵に回すのはある意味国家と喧嘩するくらいの覚悟がないと」
ま、ちょっとオーバーだけどと副社長は笑った。
高橋麻由子さん。
どうやら高橋のお母さんはかなり強い女性らしい。
でも、裏表のない明るく華やかな人だった。あとで高橋に「お母さんに会ったよ」って連絡してみよう。
「早希たちのあいさつ回りは終わったの?」
「いや、まだ半分かな」
半分。
その副社長の言葉に早希の身体がピキンっと一瞬固まったのがわかった。
何も言わずちらりと副社長に視線を送るとわかっているというように軽く頷いて
「ちょっと外の空気を吸いに出ようか」と副社長は早希を促した。
早希はほっとした顔をして「行ってくるね」と私に言った。
「できれば一度ハイヒールを脱がしてあげて欲しいわ」と副社長に小声で声をかけると「了解」と返事があって早希は副社長に連れられて会場出口に向かって歩いて行った。
お似合いの二人だ。
私の頬も緩む。
これならばどこからも文句はでるまい。