彼の隣で乾杯を
「で、何があった?由衣子が知ってる範囲でいいから話せ」
頭の上から高橋の穏やかな声が落ちてきて
私はふうっと息を吐いて下を向いた。
「さっきも言ったけど、あんまり情報はないの。どうしていいのかわからない」
俯いたまま涙で酷いことになっているだろう顔を両手で覆った。
「それでもいい。とにかく知ってる事を話してみろ。話す順番なんてことも気にしなくてもいい。由衣子の見たこと、聞いたこと、感じたことを言ってみろ」
仕事のプレゼンじゃねーんだしなと私の頭をポンポンとした。
とにかく話せと言われ私は渋々知っていることをぽつぽつと語った。
途中でぐずぐずと涙が出て来ても高橋は何も言わなかった。
隣同士に座ることで高橋の顔を見なくて済むし、私の泣いていた顔も見られなくて済んだ。
「何にも知らないのに私が会ってこいだなんて言ったから早希がいなくなっちゃったんだよね・・・」
またも胸の奥がずきずきと痛みだす。
部屋着のカットソーの胸元をぎゅっと握りしめた。
「自分がいなくなったら由衣子が辛くなるってことぐらいアイツもわかってる。それでもアイツは由衣子に言わず逃げたんだからよっぽどの何かがあったってことだろ。
由衣子のせいじゃないから、泣くな。そもそも悪いのは康史さんだ、たぶん」
高橋の大きな手が私の頭を包んでくしゃくしゃっと撫でる。その手は冷たかったけど高橋の気持ちは温かい。
「ね、早希と副社長のこと、高橋は何か知ってたの?」
顎を上げて見上げるように高橋の顔を見る。
私よりずっと身体の大きい高橋と目線を合わせるにはどうしても上目遣いになる。
この角度が涙をこぼさないようにするにはちょうどいい。
頭の上から高橋の穏やかな声が落ちてきて
私はふうっと息を吐いて下を向いた。
「さっきも言ったけど、あんまり情報はないの。どうしていいのかわからない」
俯いたまま涙で酷いことになっているだろう顔を両手で覆った。
「それでもいい。とにかく知ってる事を話してみろ。話す順番なんてことも気にしなくてもいい。由衣子の見たこと、聞いたこと、感じたことを言ってみろ」
仕事のプレゼンじゃねーんだしなと私の頭をポンポンとした。
とにかく話せと言われ私は渋々知っていることをぽつぽつと語った。
途中でぐずぐずと涙が出て来ても高橋は何も言わなかった。
隣同士に座ることで高橋の顔を見なくて済むし、私の泣いていた顔も見られなくて済んだ。
「何にも知らないのに私が会ってこいだなんて言ったから早希がいなくなっちゃったんだよね・・・」
またも胸の奥がずきずきと痛みだす。
部屋着のカットソーの胸元をぎゅっと握りしめた。
「自分がいなくなったら由衣子が辛くなるってことぐらいアイツもわかってる。それでもアイツは由衣子に言わず逃げたんだからよっぽどの何かがあったってことだろ。
由衣子のせいじゃないから、泣くな。そもそも悪いのは康史さんだ、たぶん」
高橋の大きな手が私の頭を包んでくしゃくしゃっと撫でる。その手は冷たかったけど高橋の気持ちは温かい。
「ね、早希と副社長のこと、高橋は何か知ってたの?」
顎を上げて見上げるように高橋の顔を見る。
私よりずっと身体の大きい高橋と目線を合わせるにはどうしても上目遣いになる。
この角度が涙をこぼさないようにするにはちょうどいい。