彼の隣で乾杯を
結局、高橋から早希の情報は得られず残念であるけど、少しだけホッとしている自分がいる。

だって、早希と高橋の二人は同じ部署にいて、一緒にいるところを見かけることもあるし、それに二人は隠れて付き合っているなんて噂されている。
私が高橋といるよりずっと多くの時間を高橋と早希は過ごしている。

「でもなあ、谷口と康史さんか。ちょっと信じられないな」

「何で?」

「だって、康史さんって副社長だぜ。どこで知り合ったんだろうな。それに、学生時代はモデルもしててすっげーモテモテでさ。周りにいた女も派手なのばっか。あ、今はすげーまじめだぜ?」

むっと眉間にしわが寄る。

副社長ってどんな男なのかと思ってたけど、そんなチャラいオトコなのか。
そういえば一昨年まで副社長は長めの茶髪でいかにもなモデル面だった。うちの広告塔としてはインパクト満点だったけど、誠実そうな感じではない。

最近は黒髪のすっきりとした短髪で誠実そうな雰囲気に180度チェンジしていた。

社内で浮いた噂なども聞いたことはないし、仕事にも精力的だって聞いてるから以前のイメージの副社長とは違うのかもしれないけれど、でも、ソイツが親友を泣かせたとなると話は別。

どんどん副社長に対しての怒りが増してくる。
アイツ何をしたんだ、私の早希に。

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