彼の隣で乾杯を
何度も誘いを断ったことでエディーは力技に出たのだと理解した。

「このパーティーに関して社長は佐本さんが嫌なら行かなくていいと言ってますが、エディージオ氏とはビジネス外でもごく個人的なお知り合いでしたよね?」

個人的な?
それってどういう意味?
よく噂される私のプライベートな男性関係ってこと?

エディージオは確かに恋多き男性でイタリア男の典型のような人だ。
この秘書も私のことを男にだらしないとか乱れた女だとか枕営業する女とでも思ってるんだろうか。

スッと私が表情を硬くしたのが分かったのだろう「すみません。そういう変な意味ではありません。誤解させてしまったのなら謝ります」とテーブルに手をついた。

「営業職をしていると人脈は広いに越したことはありません。それであなたは会社員としてビジネスの繋がりだけでなくエディージオ氏本人の信頼を勝ち取っている人だと言いたかったんです。言葉が足りなくてあなたを傷つけてしまい申し訳ありません」

私よりも年上で役職もずいぶんと上であるはずなのに、彼は潔く頭を下げてきたのだ。

「え、いえ。あの、私もちょっと早とちりして。失礼しました」

驚いた。
あっという間に私の印象をいけ好かないイヤな男からできる男に変えたこの人。
ちょっとできる男らしい。

「普段からアンドレテ社のエディージオとは不名誉な噂をたてられているもので、てっきり・・・。申し訳ございません」
私も勘違いを詫びた。
< 41 / 230 >

この作品をシェア

pagetop