彼の隣で乾杯を
「社長、何度も言うように日本でそのような冗談はおやめください。日本人にはそのような冗談が通じません。それに私とエディーは決してそのような関係ではございませんので」

「何言ってんの、冗談じゃないって」
エディーが私の肩に回していた手を腰へとスライドさせた。

「ユイコは息子と結婚しても仕事を辞めなくていい。もちろん息子には愛人など持たせないし浮気したら即座に離婚していいしアンドレテの日本支社を君のものにする。この条件でどうだい？」

社長が私の目を見据える。

「ユイコなら私たち夫婦とも仲良く家族としてやっていけると思うんだ」

いやいや、嘘でしょう?

離婚の慰謝料がアンドレテの日本支社ってちょっと魅力的だけどーーーってそうじゃない。
だめ、だめ、乗せられちゃダメ。

いつの間にか私の腰をしっかりと抱いているエディーと爆弾発言をした社長の顔を交互に見やると、二人とも微笑みながら頷いているではないか。

まさか、本気ではないよね？
いつもの冗談よね？
私の方が本気で焦ることになってしまった。
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