彼の隣で乾杯を
早希は両手でマグを挟むようにして持ちコーヒーを一口飲んでほうっと息を吐いた。

そんな姿を見ても早希は本当に綺麗な子だなと心の中で思う。

私より背が高くすらっとした手足に長い指先。
周りは彼女の普段の地味メイクとメガネ、ひっつめヘアスタイルに騙されていて”地味な女”だと思っているが、実はとびきりの美女だ。

私は目鼻立ちのはっきりとした顔にそれなりの凹凸のある身体、その見た目を武器として使っているけれど、早希は隠していた。
早希は過去に私同様見た目で嫌な思いをしたことがあるらしい。

どうでもいい者たちは本当の早希の姿を知らなくていい、と本気で思う。

早希の真の姿は早希のことを大切に想う者だけが知っていればいいのだ、なんて考えている私も少し病的なのかもしれない。

自分の家族と疎遠になっている私には血の繋がった親よりも早希の方が何倍も大事なのだから彼女の一番の理解者でありたいと思っているのだ。
でも、今回のことは何も知らなかった。
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