彼の隣で乾杯を

それにしても。

「本当にどうして来たの」
私は再びエディーにかみついた。

ここにエディーがいるという事は、このホテルの正面にはとてつもないサイズのリムジンが横付けされているのだろう。
想像するとクラっとする。

私と小林主任と林さんの3人は宿泊先のこのホテルからタクシーで一緒に大使館のレセプション会場に移動しようとしたところ、いいタイミングで颯爽とエディーが現れたのだ。もちろんニコラスを伴って。

「さあ、会場へ行こう。車に乗って。マイコはもちろん僕の隣ね」
「ありがたいけど、ありがたくないわ」
約束もしていないのにエディーが現れて、私の腰を押し出すようにして無理やり歩きはじめたから私はさらに文句を言った。

芸能人のように有名なエディーが現れてホテルのエントランスに居合わせた人たちからの視線がビシビシと刺さってくる。スマホのカメラを向けている人までいるありさまだ。

だいたい、何なのこの男性4人。イケメン過ぎるでしょ。

エディーは言わずと知れた長身、黒髪にダークブラウンの瞳に濃いめの凛々しい眉、細身だけど、しっかり鍛えてるって言うから脱げばすごいのかもしれない。
もちろん、見る予定はないけどね。

ニコラスは大人の男性の魅力に満ち溢れていて、小林主任は日本人にしては背が高いし、スポーツマンタイプでかなりカッコいい。
林さんのいつものサイボーグ顔も海外で見るとポーカーフェイスを売りにしている映画俳優のように素敵に映ってしまうからとても不思議だ。

そんな4人に囲まれてレセプションに参加だなんてこれって何の苦行なの。

決して自分が目立ちたいわけじゃないけど、いくら私が少しだけ見た目がよくできていてもこの4人に囲まれたら刺身のツマの役割だってできる気がしない。

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