モテ期到来!?!憧れ上司とイジワル同期に迫られてます
「悠菜、気に入られて良かったな。」


途端に聞こえてきた声に顔を向けた。

榛名取締役の奥にいる剛を見た。


「何が言いたいの?」

「高井戸ロジスティクスの嫁とか……玉の輿だな。」

「そうね、玉の輿に乗りたいわ。」


剛から顔を背けて、荷物を持ち、取締役に向き直った。


「取締役、お待たせ致しました。」


にっこりと微笑んでみせた。


「怖い女。仮面の下は悪魔だろ。」

「…………。」


剛は無視。

本当に私に対してイジワルしか言わない。

隣に立つ背の高い取締役の目と合う。


「斉藤さん、食事に誘われたら行くの?」

「えっ?」


思いもよらぬ言葉に変な声が出てしまった。


「俺も斉藤さんを誘ったら……一緒に食事してくれるの?」

「取締役?」

「プライベートで誘ってもいい?」

「…………取締役?」


突然どうしちゃったんだろう。

今まで一度も誘われるような素振りすらなかったのに?

えっ?

困惑気味の私の目の前で、イジワルな笑みを浮かべた取締役に固まる。
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