モテ期到来!?!憧れ上司とイジワル同期に迫られてます
なんか変な感じだ。

剛の部屋で一緒にコーヒーを飲むなんて。


「剛、昨日はゴメン。」

「飲み過ぎ。」

「うん、つい…………。」

「兄貴と飲めたからか?」


チラリと視線が交わる。

確かに、雰囲気のいいバーで取締役と一緒に飲めた高揚感もあるのかもしれない。


「兄貴が好きなのか?」


直球の質問に動きが止まってしまった。

好き?


「憧れてるだけ。」

「兄貴に誘われたら2人で出掛けるのか?」

「…………誘われないよ。今までだって一度も誘われた事なんてないし。」


そうだ。

今まで一度も誘われた事なんてない。


「兄貴、彼女いないけど。」

「そうみたいね。」

「知ってた?」

「まあね。」


この前、取締役から聞こえてきた呟きを思い出す。

確かに『フリー』だと聞こえた。


「兄貴とは付き合えないよ。」

「わかってる。」


言われなくても分かってる。

取締役と私では釣り合わない。

取締役にとっては……ただの秘書だ。
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