モテ期到来!?!憧れ上司とイジワル同期に迫られてます
取締役室の扉の前で大きく深呼吸をする。


「榛名取締役、失礼します。」


ノックして部屋に入る。

ソファーで寛ぐ取締役と視線が交わる。

緊張してきた!

無意識に深呼吸をしていた。


「悠菜も緊張してる?」

「…………も?」

「俺も緊張してる。」


照れ笑いを見せる取締役に少し鼓動が静かになっていく。

少しの間、沈黙が流れる。


「悠菜、行こうか?」


歩き始めた取締役の後ろを歩いていった。


「榛名取締役、お疲れ様です。」

「お疲れ様。」

「まだお仕事ですか?」


私の背後に立つ取締役と女子社員の声が聞こえる。

いつもの癖で、エレベーターの階数ボタンの前に立つ私は少し後ろを振り返った。

女子社員と目が合う。

ぺこりとお辞儀で挨拶をした。


「秘書とお出掛けみたいですから。」

「ああー。」


取締役と視線が交わる。


「そう、今から会食。」

「ですよね?お疲れ様です。」


私はどんな目をして取締役を見たのか?


『不安』


そんな目をしていたに違いない。
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