ストロベリームーン
蓮が盗んだと思ってごめん。
疑ってごめん。
蓮の愛情を少しでも疑って、ごめん、ごめん、ごめん。
蓮、蓮、蓮!蓮に会いたい。
蓮、今どこにいるの?
「り、璃々子大丈夫か?」
リョウが璃々子の肩に手をかける。
「触わんなぁ、この馬鹿わらじ!」
璃々子はリョウの腕時計をはめた手に噛みついた。
「ひっ」
リョウは驚いて手を引っ込める。
「おまえのせいで蓮がいなくなったんだから」
璃々子は立ち上がり、怒鳴りつけた。
「な、なんだよ。あいついなくなったのか?知らねーよ。なんでそれが俺のせいなんだよ」
それもそうだ。
リョウと蓮がいなくなったことは関係ない。
が、後に引けなくなってしまった璃々子はそのままリョウを睨みつけて言った。
「シーユーアゲイン」
璃々子は勢いよくリョウに背を向け歩き出した。
あれ、なんか違ったかも。
もう2度とわたしの前に現れるな、と言いたかったのだが、それと反対のことを言ってしまったような。
ま、いっか。
道の向こうに沈みかける夕日が見えた。
リョウは小さくなっていく璃々子の後ろ姿を見ながら呟いた。
「璃々子あいつやっぱ馬鹿だ」