ストロベリームーン
拍子抜けのカミングアウト
璃々子が50万の犯人が誰かと気づいたと気づかれたのか、璃々子が警察に届けを出すより先に、スタッフの志保は逃げるようにいなくなった。
『実家の母が脳梗塞で倒れたので急遽茨城に帰ります』
一方的なメッセージに返信した璃々子のメッセージに返信はなかった。
璃々子は慌てて志保の履歴書を持って警察に被害届を出しに行った。
あの日いた璃々子に同情した同じ警察官だった。
日を開けずに強面の刑事が璃々子のところに3人やってきた。
サロンと自宅で指紋や写真を撮るのを璃々子は固唾を飲んで見守った。まるでテレビドラマみたいだった。
志保の居場所はすぐに見つかった。
実家の茨城に帰らずに、同じ東京でちゃっかりコンパニオンの仕事についていた。
ちなみに志保の母親は元気ピンピンだった。
そしてなんと志保の新しい仕事先でも盗難事件が起きていた。
コンパニオンの女の子たちの財布が盗まれていたのだ。
璃々子の部屋から採取した指紋の中にあるはずのない志保の指紋が多数見つかった。
仕事中、志保はこっそり璃々子のバックから鍵を抜き取り、お遣いに行くふりをして合鍵を作っていたのだ。
マンション内に備えつけられた防犯カメラに璃々子の部屋に出入りする志保の姿が映っていた。
その同じカメラに、璃々子と蓮が2人で部屋から出てくるところが映っていた。
あの焼肉を食べに行った夜だ。
先に扉を開けたのは蓮で、蓮はそのまま外に出ずに1度部屋の中を振り返る。
蓮の背中が少し丸まる。
璃々子にはその動作が何を意味しているのかが分かる。
中には璃々子がいて、蓮は振り向きざま璃々子にキスをしたのだ。
出かける直前玄関先で蓮に激しく抱かれた後だった。
最中に卑猥な言葉をわざと繰り返し囁いた蓮はそれを詫びるように優しく璃々子にキスをした。