ストロベリームーン
やっぱり自分は普通なんだと安心した。
ワンルームの狭いシングルベッドに横たわり天井を見上げる。
隼人と自分。
20歳と18歳。
お互い彼女、彼氏なし。
そして男と女。
小春と自分。
27歳と18歳。
お互い彼氏なし。
そして女と女。
間違いなく隼人を選ばないと駄目だろう。
人生は選択の繰り返しだ。
小さな選択から大きな選択までいろいろあるが、間違えてはいけない。
例え間違っても軌道修正できないこともないが時間のロスになる。
もう小春のことは終わりにするんだ。
妄想も止め。
もし隼人と上手くいかなくなったりしたら、もったいないけどバイトは辞めればいい。
孝哉さんには申し訳ないけど。
孝哉さんと言えば孝哉さんは亡くなった恋人のことを今でも妄想したりしているのだろうか。
いやこの場合は回想か。
美談ではあるけれど、璃々子の言うように新しい恋人を作って未来に向かって生きた方がいいと思う。
あんな指輪外してしまった方がいいんだ。
あの小さな指輪が孝哉さんをがんじがらめにしている気がする。
どんな悔いを残しているのか知らないが、相手が死んでしまっていてはその悔いを果たすことは永遠にできないではないか。
みんなもっと幸せになれる方向に進んだ方がいい。
璃々子もそうだ。
そうだ、璃々子にこの前撮った蓮の写真を見せてやらないといけない。
さっさと騙されていることに気づいて、璃々子に見合った男を探すべきだ。
世那は目を閉じた。今日は久しぶりにゆっくり眠れそうな気がする。