ストロベリームーン
物事は好きか嫌いかのそれだけ、自分の気持ちに素直に生きてきた璃々子。
馬鹿だと言われ続けても幸せだったらそれでいいと、自分の気持ちに間違いはないと、そう信じて今まで生きてきた。
その気持ちの中心である直感が今揺らいでいるのだ。
蓮が盗んだのではないと、99%の常識をくつがえす1%の直感で信じていたその直感が脆くも崩れ去ったのだ。
腕時計を盗んだのは蓮だ。
悲しいが、それも直感だった。
そして今、璃々子は蓮に訊きたいことがあった。
蓮が璃々子に語った音楽の夢は、あれは嘘だったのか?
璃々子を好きだと言ったあの蓮の言葉は嘘だったのだろうか?