ストロベリームーン
アウトオブクローゼット
女を決行するその日は朝から緊張した。
世那は服よりも下着の方を慎重に選んだ。
出番はないと分かっていても今日は間違ってもいちごのパンツを履いて行ってはだめだ。
璃々子の言った通りワックス後のあそこの肌はその日の夜にはツルツルになった。
湯船に浸かりながら何度もそこに手を這わせツルツル感を楽しんだ。
小春の写真展は下北沢にある昼間はカフェ、夜はバーになるという店で行われていた。
下北沢で1番高い所にあるという店は古いビルの最上階にあった。
張り紙だらけの狭いエレベーターに1人乗りながら、やっぱり花でも買ってくるべきだったかと後悔する。
こういうことは初めてで勝手が分からず手ぶらで来てしまったが世那は写真展の看板ともいえるハガキに印刷されたモデルなのだ。
やっぱり何か買ってこようと決意すると、ちょうど最上階に到着する。
扉が開いて世那の写真が目に飛び込んでくる。
エレベーターの扉がそのまま店の扉になっていて、よろけるように外に出る。
ハガキに小さく印刷されたもので見るのとは違い、その迫力に圧倒される。
写真の中に吸い込まれてしまいそうだ。
すでに店内は多くの人で賑わっていた。
右手にバーカウンターがあり奥にレトロなソファーが置かれている。
窓でぐるりと覆われた店内の天井からいくつもパネルが吊るされ写真が展示されていた。
人々は飲み物を片手にパネルの間を縫うようにして移動している。
窓の外はオレンジ色に染まっていてすでにアルコールの類を持っている人も多い。
ざっと見渡したが小春の姿は見つからない。
緊張しながら世那はカウンターでコーラをもらい、身を置く場所を見つけるとそこに収まりまた改めて小春を探した。
小春の代わりにドラッククイーンのパート1とパート2を見つける。
小春はいなかった。