最後の夏、君の太陽に。
第4章「絶望」
莉央ちゃんと付き合い始めて、間も無く1ヶ月が経とうとしている。時間が経つと、特に1ヶ月を過ぎると冷めたり、今までと接し方が変わったりするらしい。
けど、俺たちは何ら変わる事もなく、いつも一緒に帰ったりしている。


「峻輝くん!」

いつものように正門で待っていると、遠くから呼ぶ声がした。彼女の周りにいる人たちは、一瞬チラッと俺の方を見てきて、「ああ」というような顔をする。
なんだかむず痒い心地だ。

彼女が歩いて距離を縮めてくる。

「お待たせ」
「いや、俺もさっき来たとこだから」
「そっか、じゃ帰ろ」
「ああ」

正門からしばらくは、この学校のほぼ全員の生徒が通るから、部活終わりのこの時間は大混雑だ。その流れに身を任せて、でも彼女とはぐれないように手を繋いで進んだ。

「ねえ、来年はインターハイ、行ってね」

莉央ちゃんがふと、そんな事を言った。
俺たちの剣道部は、先週の地方予選で敗退してしまったのだ。
3年生先輩はもう引退だけれど、俺にはあと2年ある。

「来年はどうかな。でも、絶対に行きたい」
「応援するよ」
「うん、ありがとう」
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