その瞳は、嘘をつけない。
次の日、目が覚めると、秀くんは既に身支度を済ませていた。

「もう行っちゃうの？」
「あぁ、悪い。起こしたか。」

そう言って枕元に来てくれて、額にちゅっと
口づけをくれた。

「最近忙しくてな・・・悪い。」
「青木さんが言ってた、秀くんが抱えてる件が厄介だって。」
「まぁな。仕事なんてそんなもんだろ。」

なんでも無いようにそう言う秀くんに、やっぱり刑事さんの仕事はよくわからないというか。
晴れて恋人同士になったけど、すごく遠い存在に感じてしまった。

「ねぇ、それって危ない仕事なの？」
「は？」
「ほら、良くあるじゃない？
街中で逃げる犯人を追いかけてたら人気のない倉庫みたいなところで、犯人の仲間たちにずらっと囲まれて・・・。」
「実加、本の読みすぎだ。」
「え？」
「あんなの作り話だろ。実際は、かなり地味だ。」
「そうなの？」
「デスクワークなんかも多いんだぞ。面倒だけど。」
「そうなんだ。」

まだ早いんだから寝てろ、という言葉に甘えて、ベッドの中で秀くんを見送った。
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