その瞳は、嘘をつけない。
”お正月は帰ってくるの?ぜひ実加ちゃんも連れてきて!”

母親から届いたメッセージを、もう2日間無視している。
珍しいことではないので、催促のメッセージもこない。

署の喫煙ルームでタバコを片手に、頭を掻きむしる。
コーヒーメーカーの煮詰まった不味いコーヒーは飲む気にならない。

実加と付き合い始めてから8か月。
まともに彼女をつくったのは学生の時以来で、恋人同士ってどんなことするんだ?という手探り状態でもあったが、2人で関係を築いてきたという自信もあった。
が。
最近なぜかイライラする。

実加は本来の性格だろうが、かなり落ち着いている。
あの年齢の女なんて、服やアクセサリーやバッグ、遊びに金を使っていそうなのに。
生活力というのか。
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