その瞳は、嘘をつけない。
俺の馬鹿みたいな苛立ちは、当然実加にも伝わっている。
最近では、俺に対してはっきりと怯えるようにもなってきた。

俺に対する疑問や怯えは隠し通せていないのに、それでもあいつは何も言ってこない。
ベッドの中でもそう。
わざと乱暴に接していても、痛いの一言も言わない。

今まで他愛のないような会話は幾度もしてきたが、
俺に本心を言うことをなぜ躊躇う。
そんな中途半端な関係を望んでいるわけではない。

本音をさらけ出したら俺に捨てられるとでも思ってるのだろうか。
また捨てられるとでも思ってるのだろうか。
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