その瞳は、嘘をつけない。
そういえば、あの時の合コンの幹事と実加は高校で同じクラスだと言っていた。
こいつも含まれるのか。
実加が好きでたまに見せられる海外ドラマでもあるまいし、人間関係が狭すぎないか?
地元の人間にとっては普通かもしれないが、転勤で数年しか滞在しないであろう俺には想像もつかない。

「少し話がしたいんです。お時間いただけませんか?」
何も言わずにいる俺にも臆せずはっきりと言ってくる。
完全に仕事モードの俺にも怯まないとは、ひ弱そうに見えてなかなかやるな、と見直した。

「すぐに署に戻りたい。裏に車を駐めてあるから、そこに向かう間だけなら。」
「構いません。ありがとうございます。」
「君こそいいのか?忙しそうだが。」
電光掲示板に視線を向ける。
「僕もすぐに戻りますから。」
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