その瞳は、嘘をつけない。
病院を出ると、12月の風は冷たいが、病院内の篭った空気に比べると、こっちの方が心地よい。
「話たいのは、実加のことなんですけど。」
考えなくてもわかる。俺たちに共通の話題なんてそれしかない。
目が合ったので、さっさと続けろ、と目で訴える。
「あいつ、あなたには、ちゃんと我がまま言ってますか?」
「と言うと?」
「あいつ、本音を言わないというか、言えないというか。とにかく全部溜め込むじゃないですか。
あんな環境で育ってるから、仕方ないと思いますけど・・・。
不満があっても笑顔で、大丈夫だよ、なんて言ったりして。本人は上手く隠せてると思ってるけど、全然。全部顔、っていうより目に出てるのに。」
あんな環境、というのが気になり経緯を問う。
見構えたほど、複雑なものではなく言葉にしてしまえばたった数行で済むものであるが、
本人からも聞いたことのない事実だった。
隠していた、という程でもないだろう。
わざわざ言わなかっただけだ。
仕事でも関わることがある、こういった案件は傍から見るよりも深く厄介なものでもある。
医療従事者と言っても、畑違いのこいつが背負うには、荷が重すぎたんだ。
そして実加が本心を隠す理由は、そこにあったのか、と。
それをこいつから聞かされるのも腹立たしいが、気づけなかった自分にもさらに腹が立つ。
見抜けるタイミングなんていくらでもあったはずだ。
実加の隠しきれない本心は垣間に、目に現れる。
と言ってもほんの僅かのこと。
俺みたいに人を疑うような仕事をしている人間ならともかく、これに気づくやつなんて滅多にいないだろうなと自負していたが。
こいつも気づいていたのか。
やはり、7年半の付き合いの絆というのもそう容易くはないな、と妙な嫉妬心と独占欲。
「僕、あまりにも実加が本心出さなくて、いつも冷静で。何でも一人で解決しようとするから。
僕には実加が必要だけど、実加は僕を必要としてくれてるのかわからなくなって…。それで…。」
「話たいのは、実加のことなんですけど。」
考えなくてもわかる。俺たちに共通の話題なんてそれしかない。
目が合ったので、さっさと続けろ、と目で訴える。
「あいつ、あなたには、ちゃんと我がまま言ってますか?」
「と言うと?」
「あいつ、本音を言わないというか、言えないというか。とにかく全部溜め込むじゃないですか。
あんな環境で育ってるから、仕方ないと思いますけど・・・。
不満があっても笑顔で、大丈夫だよ、なんて言ったりして。本人は上手く隠せてると思ってるけど、全然。全部顔、っていうより目に出てるのに。」
あんな環境、というのが気になり経緯を問う。
見構えたほど、複雑なものではなく言葉にしてしまえばたった数行で済むものであるが、
本人からも聞いたことのない事実だった。
隠していた、という程でもないだろう。
わざわざ言わなかっただけだ。
仕事でも関わることがある、こういった案件は傍から見るよりも深く厄介なものでもある。
医療従事者と言っても、畑違いのこいつが背負うには、荷が重すぎたんだ。
そして実加が本心を隠す理由は、そこにあったのか、と。
それをこいつから聞かされるのも腹立たしいが、気づけなかった自分にもさらに腹が立つ。
見抜けるタイミングなんていくらでもあったはずだ。
実加の隠しきれない本心は垣間に、目に現れる。
と言ってもほんの僅かのこと。
俺みたいに人を疑うような仕事をしている人間ならともかく、これに気づくやつなんて滅多にいないだろうなと自負していたが。
こいつも気づいていたのか。
やはり、7年半の付き合いの絆というのもそう容易くはないな、と妙な嫉妬心と独占欲。
「僕、あまりにも実加が本心出さなくて、いつも冷静で。何でも一人で解決しようとするから。
僕には実加が必要だけど、実加は僕を必要としてくれてるのかわからなくなって…。それで…。」