その瞳は、嘘をつけない。
「さて、そろそろ寝ないか?
明日も仕事だろ?」

秀くんが、うーんと腕を伸ばす。
ずっと同じ体勢だった上に、私が持たれかかってたしね。

「うわっ、こんな時間だ。もう寝るっ!!」

時刻は2:00AM。
朝方人間の私が、眠気を感じずにこんな時間まで起きていられたことが奇跡かもしれない。

「秀くん明日は?」
「朝から出る。」

私は遅番だから平気だけど、秀くんは3時間くらい寝られる、かな。
仕事のことにあまたが廻った時、ふと思い出したことがあった。

「今日、ていうかもう昨日だけど。
いつから待ってたの?」

「休みだと思っていたから夕方に・・・。
あの時間で留守ということは仕事でも入ったんだろうと思って、終わりそうな時間を見計らって待ってた。
ずっといた訳じゃない。」

相変わらず、人の行動はしっかり読めてるんだな。

「ごめんね。
クリスマスに休み貰っても、予定がないのも寂しいくて。
他の人に譲っちゃったの。」

「構わないさ。必ず帰ってくると分かっている相手の張り込みは苦でもない。」
と言いながら、洗面所に向かっていく秀くん。

私みたいに行動がワンパターンな犯人だったら、逮捕も簡単なんだろうな。

「おい、ていうかお前、俺の歯ブラシ…」

「あ、ごめっっ…
今朝、捨てちゃった………」

ついでに言うと着替えも…。
小声になる私に、
私のところへ戻って来た秀くんは
額に優しくキスをした。
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