その瞳は、嘘をつけない。
秀くんから、お父さんもお母さんも妹さんも甘いものが好きと聞いて
(つまり、私を含めてみんな甘党だなぁ)
お土産を買いにデパートに来てみた。

年末年始のごちそうや帰省土産を買い求める人で、デパートは大混雑。
大きなバッグはスーツケースを持つ人も多くて、ぼーっとしていたら
すぐに誰かにぶつかってしまいそう。

みんなが甘いもの好きなら、たくさんあっても良いかな、なんて欲が出てしまい、
和菓子のところと洋菓子のところを行ったり来たり。
どれこもれも美味しそうで決められない。
優柔不断だと、こういう時本当に困る・・・。

せっかく1日ゆっくりできるし、時計も見ずにうろうろしていたら、2時間近くも経っていた。
散々悩んだのと人込みでさすがにぐったりしてしまい、よろよろと歩きながら駅へ向かう。
カフェで休憩、とも考えたけど、どこも混んでいる。
早く、帰ろう。

改札へ向かい、バッグから電子パスを取り出し前へ進もうとした時に
ホームから改札を抜けて、こちらへ向かってくる、ある人に視線が向いた。
この混雑の中でも、スローモーションのように
彼の姿をしっかりと捉えられた。

耕平・・・。
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