その瞳は、嘘をつけない。
そして耕平も、私に気付いてる。

お互いに、人波に逆らうことも出来ず
気づいたら
耕平が目の前にいた。

「あの、秀くんと会ったんでしょ。
私のこと心配してたって聞いたの。
ありがとう。」

今までの私ならきっと、耕平から話しかけてくれるのを待っていたと思う。
そんな私の変化に、耕平も驚きを隠さなかった。

「元気そうで良かったよ。」

お互いに、笑顔になる。

「美咲さんはお元気?」

「うん。先週、子供が生まれたんだ。」
どこか誇らしそうで、
見知っているはずの耕平が、大人っぽく見えた。

「そっか!おめでとう!
耕平、いいお父さんになりそうだもんね!」
照れているところを見ると、やっぱり見知った耕平だと思った。

「ちゃんと美咲さんのこと、サポートするんだよ!」
「わかってるよ、任せとけって。」

電車が到着したようで、改札からたくさんの人が流れ出てくる。
ここで立ち止まっているのも、そろそろ限界かも。

「私もう行くね。
それじゃ、ばいばい。」
「おう、気を付けて。」

4月にショッピングセンターで会った時のような
焦燥感や寂しさは感じなかった。

私は、もう大丈夫。
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