その瞳は、嘘をつけない。
「あぁ、自分用。体力仕事だからな、甘いものが欲しくなるんだよ。」
「そうなんですね。ちょっと、意外な気がしてしまって・・・すみません。」
「別に。謝んなくても良いよ、よく言われるし。意外って。」

きっとそれは、女の人に言われるんだよね、と勝手に脳内変換。

「何か買う物ある?レジ混んでるから、あるなら一緒に会計してくるけど。」
「いえ、私は大丈夫です。」
じぃ、っと一之瀬さんが、観察でもするかのように見つめてくる。
なんかちょっと、恥ずかしくて居心地悪い、かも。
「そっか。」
さらっと言ってから、一之瀬さんはレジへ向かった。
その背中を見送ってから、入り口近くで移動して待つ。
さすがに先に帰るのも失礼すぎるし。

警察官ってことだけでもモテ要素ばっちりなのに、あの長身に、さらっとした身のこなし。
モテるどころじゃなく、モテモテに違いない。
そして女の人の扱いにも慣れてそう。
妙に浮足立ってそわそわしている私とは違って、落ち着いているし。
私のことは何とも思ってないんだろう。
南さんと青木さんのために、たまたま2人ずつに分かれてしまった、ただそれだけ。

自動ドアが開く度に、外から冷たい風が入ってくる。
3月とは言え、春はまだまだ遠い気がする。

「待たせたな。」
一之瀬さんと一緒にコンビニを出た。
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