その瞳は、嘘をつけない。
お風呂とトイレ掃除は秀くん担当。
カビ取り剤を使うからと、マスクに手袋、どこから持ってきたのか眼鏡まで装着してる。

「その眼鏡、どこから?」
「液晶用。デスクワークが続く時にたまに使うんだ。」
裸眼でやるよりマシだろう、とお風呂へ向かっていった。

そんなにきっちり装備しなくてもいいんじゃ・・・?と思いながら見送る。

私はキッチン。
換気扇と五徳を漬け置きしてる間に、シンク下の収納の掃除。
と言っても、ほとんど何も入っていない。
男の人の一人暮らしって、こんな感じなんだなぁ。

初めてこのキッチンでコーヒーを淹れた時の事を思い出す。
マグカップが2つあってほっとしたんだよね。
あれからもう、1年近く経つ。
でも、まだ1年しか経っていないことが不思議なくらい充実していたような気がする。
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