その瞳は、嘘をつけない。
「悪いな。
内示が出る前に余計なことを言って、不安にさせるのも良くないかと思って。」

確かに、転勤になるかも、なんて聞いていたら
どうでもいい心配とか不安とか抱えてそうだもんな、私。

「なぁ、前に俺が言ったことは覚えているか?」
「え?」

秀くんに顔を覗き込まれていた。
狙ったものは逃がさないという風な、
まっすぐ射貫くような瞳。

「俺は、お前との将来を考えている、という話だ。」
「うん・・・覚えてるよ。」

私の心は、これ以上ないくらいに
秀くんに捕らえられているのに。
これ以上どうしようというの?

「この街を離れるからといって、お前を手放すつもりはない。
わかるよな。」
「はい・・・。」
「本当は一緒に連れていきたいが、さすがに難しいだろう。
仕事のこともあるし。」

そう、秀くんの異動まであと1週間しかない。
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