その瞳は、嘘をつけない。
猫目がちで、大人しそうな人。
お料理とか得意そう。
背はあんまり高くないよね・・・ヒールの靴を履いてても身長差があんなに・・・。
彼女の歩くペースにしっかり合わせてるよね、一之瀬さん。

「ちょっと丹野。どこ見てるの?」

あ、いけない仕事中だった。

今日は、先輩警官の石原警部との現場研修。
主に駐車禁止等の取り締まり。パトカーに乗ってます。

私があまりにもガン見していたものだから、石原警部もそちらに注意を向けてしまったみたい。
「あれって・・・一之瀬警部補?」
やっぱり、気づいちゃいますよね。

石原さんは、署内でも珍しいママさん警部。
一之瀬さんに彼女がいるって知っても取り乱したりはしないだろうけども。

「丹野。」
「は、はぃい!」

いつも威勢のいい石原警部から発せられる厳しい声に、思わず肩がビクンと跳ねる。

「今見たことは、誰にも言わないように。
業務に支障がでるわ。」
「はい、もちろんです。」

そうだよね・・・・
一之瀬さんに彼女がいるなんて知ったら
欠勤してしまう先輩がたくさんいそう・・・・。
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