その瞳は、嘘をつけない。
「実加ちゃん、前の人と別れてから1年くらい経つよね?他の人と付き合うの避けてるみたいだけど、まだ引きずってるの?」
「ううん、全く。
自分でも驚くほどに、全然。」
「元カレいるんだから、恋愛に興味ないって訳でもなさそうだしねー。元カレとはどんなきっかけで付き合いだしたの?」
「高2の時に同じクラスになって、席が近くなった時に仲良くなってそのまま・・。」
「高校の時からずっと!?てことは、7年・・・。」
「7年半ちょっと、かな。付き合ってたの。」
「すご・・・すごい。」
「でも、長すぎて、恋愛って感じじゃなくなってたかも。最後の方は特に。」
「分かるかも・・・。トキメキとかなくなりそう。
あ、てか私そろそろ戻らないと。実加ちゃん、また恋バナしようね~。」

静かになった休憩室で、タンブラーに入れて持参しているコーヒーをゆっくりとすすり、ふぅと一息。
家を出る時に用意したそれはちょっと冷めて、飲みやすい温かさで心地よい。
休憩時間はあと30分。
バッグから本を取り出し、しおりが挟んであるページから読み進める。
タイトルは、『幸せを引き寄せるための♡30の法則』
カバーなしじゃ恥ずかしくて読めません。
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