その瞳は、嘘をつけない。
高校を卒業してから、
お互いに地元の大学に進学。
大学は別々だったけど、
そんなこと何の障害にもならなかった。

元々２人とも、異性と関りがほとんどなかったから、
浮気の心配もしていなかった。

それくらい、揺るぎのない関係だった。

大きな転機は、私が大学を卒業した時の事。

その頃は２人とも実家暮らしをしていて、お互いの両親にも紹介しあっていた。
そんな時、耕平のお父さんの転勤が決まった。

薬学部に属していて、まだ大学院課程が２年残っていた耕平が１人暮らしを始めることになった。
１人暮らしと言っても名ばかりで、私も当然のようにその家に移り住んだ。

私は両親は、もう大学も卒業したんだから自由にしなさい、というスタンスだったし、
耕平のお母さんに至っては、「耕平は家事ができないから、実加ちゃんがいてくれると安心だわ～」と嬉しそうにしていたし。
周りからも公認されて始まった同棲生活。
はっきりとしたプロポーズはされていなかったけど、まさか私たちが別れるなんてことは、誰も予想していなかった。
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