その瞳は、嘘をつけない。
「ふっ。」

一之瀬さんが声を抑えて笑い出した。

「そう警戒するなよ。何も今すぐ襲ったりしないから。」
「襲って、今すぐって・・・。」

後からってこと?

お互いに子供じゃないし、私だってバージンでもないし、男性と2人で出かけるならそういうことも起こりうるって分かってるはずなのに、まだまだ受け入れられないのが正直なところ。
頭が固いのかな。
こういうところをもっと柔軟になれれば、人付き合いも気軽にできるのかな。

でも妊娠だって確実に防げるわけじゃないないし、病気のこととかも考えると怖くなる。
それなりに、将来の事を見据えられる相手とでないと、関係に及ぶことは躊躇してしまう。
ワンナイトラブなんて持っての外!!

というのが持論だったつもりなんだけど、一之瀬さんといるとそれも揺らいでしまいそうで、それもまた恐怖。
現に、事に及んでいないとは言え、泊めてもらっているわけだし。
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