その瞳は、嘘をつけない。
お互いの家を行き来する緊張感も薄れてきたある日、私の家で餃子を振舞うことになった。
全く覚えてないけど、酔っぱらった時に得意料理だと豪語したらしい。
せっかくなら皮から手作りしよう、あ、ついでに麻婆豆腐も作っちゃおうかな。
ゴマ団子も良いなーなんて、休日に一日中キッチンに立ち張り切ったかいもあってかなり豪華な夕食となった。
時間通りやってきた秀くんも、これには驚いていた。

デートを重ねるうちに呼び方も変えさせられた。
「長いだろ、俺の苗字。」
そう言って、最初は’秀’と呼び捨てでいいと言われたものの、年上の人に向かってそれはちょっと、と話し合って’秀くん’と呼ぶことにした。
私のことは、実加って呼んでもらっている。
お前っていわれることの方が多い気がするけど。

もうすぐ映見ちゃんの誕生日だけど、祝ってもらう彼氏がいないーって嘆いてる、なんて話題を振った後時に、秀くんの誕生日はいつ?と尋ねたら、帰ってきた答えにびっくり。

「今日。」
「え!?」
箸でつかんでいた餃子を落っことしてしまった。

「この豪勢な料理見て驚いたよ。誕生日なんて知るはずないのに。」
「そりゃそうでしょ!知らなかったんだから!」
「言ってないからな。」
しれっと答える秀くんを見ていると、ついいたずら心が芽生えていまい
「てことは、秀くん・・・三十路?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
黙って睨み返される。
あ、ちょっと怒らせちゃったかな。
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