もう一度、愛してくれないか

「……あたし、昨日、ほとんど寝てないの。
悪いけど、これからちょっと寝るわ」

そう言って、妻は寝室に向かおうとした。
その肩を「おいっ!」と後ろから掴んだ。

一瞬、ふわりとハーブの香りがした。
うちのボディソープの匂いではない。

「……おまえ、昨夜、どこにいたんだ?」

尖った声になる。
すると、おれの手が勢いよく振り払われた。

「どこだって、いいでしょっ!」

見上げた彼女の眼が赤かった。きちんと化粧はしているが、顔色は良くない。
昨夜、眠れていないのは本当なのだろう。

彼女は寝室に入っていく。
おれもあわてて、あとに続く。

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