もう一度、愛してくれないか

「ちょっと、返してっ!」

あまりのことに呆然としている隙に、紗香にスマホを奪い取られた。

「伊東くん、ごめんね……主人とは……話し合ってみるから……また、あとで連絡するから」

……なんだと⁉︎
この期に及んで、まだつき合いを続ける気かっ!
いや、バレたからにはおれと話し合って別れて、伊東と大手を振ってつき合うことにするのかっ⁉︎

……紗香、おまえ正気か?
伊東はまだ二十六歳だぞ?
息子の大地と三つしか違わないんだぞ⁉︎

「えっ……そうなの?……わかったわ」

紗香は顔を曇らせながらも、
「伊東くんがあなたと話したいって」
おれにスマホを寄越した。

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