もう一度、愛してくれないか
そのあとに代わった伊東の父親にも、なぜかお詫びされ感謝された。
どうやら、ようやく嫁を迎えに来たらしい。
(やっぱりこの地では「妻」と言うより「嫁」の方がしっくりくるな)
最後に小声で、
『うちの家族の手前、奥さんには綺麗事を言わさしてもろたけど、わしも男や、専務さんがあんなふうになる気持ちは、わからんでもないですわ。
……応援してまっさかい、奥さんのこと、がんばってくださいや』
と、奇怪な激励をされた。
キレイゴト?あんなふうなキモチ?……ってなんだ?
そして、ワケがわからぬままの通話が、やっと終わった。
改めて、紗香の方へ向き直る。
おれは、地獄の底を這いずり回るような、低ーい声で告げた。
「……さぁ、紗香。説明してもらおうか」