もう一度、愛してくれないか

通話を終えた紗香が、おれにスマホを差し出す。

それを受け取りながら、

「紗香……もう抱きしめてもいいか?」

と訊けば、向こうからおれの方に、ふわりともたれかかってきた。

「……真也さんが、浮気してなくて、よかった……」

おれは、この手の中に還ってきた妻を、ぎゅーっと抱きしめた。

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