もう一度、愛してくれないか
化粧を落としたあどけないスッピン顔で、妻はリビングに戻ってきた。
おれより五つ歳下だが、もうアラフォーを通り越して、アラフィフと言ってもいいような年齢になってしまった。
だが、もともと童顔だったせいか(夫の贔屓目を差っ引いても)ずいぶん若く見える。
三十代後半だといっても通用しそうだ。
二十歳を過ぎた息子と並んでみて、さすがに姉弟には見えないが、若い叔母さんとその甥という感じで親子には思えない。
今は、パイル織のルームウェアを身につけ、セミロングの髪をふんわりアップにしている。
ふんわり漂う香りは、おれのシャンプーとボディーソープだ。
「……あなたのだと、髪がごわごわするわね」
妻は苦笑しながら言った。