もう一度、愛してくれないか
焦らすように、舌でくちびるをなぞったあと、口の中へ差し入れて、深くふかく交わらせる。
そのくちびるから離したら、彼女が名残惜しげな甘い息を吐いた。
それから、耳を食むようにして甘噛みし、首筋の方へ落としていく。
彼女のパイル織のルームウェアはワンピースだ。
足元から捲り上げるのに苦労する。
「……もっと、脱がせやすいのにしてくれよ」
と吐息でささやいたら、にこっと子どものような愛らしい笑顔が返ってきた。
……先刻までの表情とのギャップがすごい。
だから、ちょっとふざけて「はい、バンザイ」と促すと、くすくす笑いながら両手を上げて「協力」してくれた。ちっちゃい女の子のようだ。
ところが。
抜き取るようにして脱がせたルームウェアをベッドの外に放つと、もうそこには「女の子」はいない。成熟した色っぽい表情のオンナに戻っていた。
出逢ってから三十年近く経つけれど、
……全然、飽きないな、おれの奥さん。