もう一度、愛してくれないか

メシを食ったあと、妻が後片付けしている間は、ソファにゆったり座ってアームレストに肘を置き、オットマンに脚を投げ出して、五〇インチのテレビを観ていた。

だが、なにを観ても頭の中に入ってこないので、仕方なくサンテレビの阪神戦を観る。
神戸を中心とした地方局の特性を活かして、たとえどんなに延長しようとも、それがどんなに阪神の負け試合になろうとも、必ず最後のイニングまで放映し続けるという。

今日の相手は広島カープだ。
最近、広島の有力選手が阪神のトレードでの補強要員になっている。
広島は、高校球児の練習かっ⁉︎ってくらいキツそうだが若手を育てるのが上手いし、またスカウトの目の付け所が斜め上を突っ走っていて、とんでもない外国人助っ人をリーズナブルに見つけてくる。


そんなことをつらつら考えて、現実逃避していたそのとき、ソファの前のローテーブルの上に置かれた、妻のスマホのバイブが一瞬、ヴヴヴッと鳴いた。

ディスプレイに、送付されたLINEのメッセージがポップアップされる。


……あいつ、いつの間にLINEまで。

< 50 / 200 >

この作品をシェア

pagetop