もう一度、愛してくれないか
♤Chapter 7♤
「あなた、片付けが終わったから……こっちに来て」
妻は、すでにダイニングチェアに座っていた。
「おまえの方こそ、こっちに来いよ」
おれは、面倒だな、という顔をつくって、今座っているヴィンテージ風のダークブラウンのカウチソファに、妻を促そうとした。
これからおまえがなにを言おうと、思いっきり抱きしめて、この柔らかいカーフスキンのソファに沈め、おまえが目論むなにもかもを、有耶無耶にしてやる。
あんなホストみたいな名前の(たぶん)歳下の男なんか、速攻で忘れさせてやる。
……だが、妻は首を振った。
「あなたがこっちに来て……お願い」
おれは渋々、ソファから立ち上がった。